Saturday, September 03, 2011

「海を飛ぶ夢」(2004西)

「尊厳死」がテーマの映画です。

学生時代、「死の臨床研究会」なるものに参加していました。きっかけは何だったのか既に忘れてしまったのだけど当時の師である教授の母体であった札幌医大でセミナーや討論会に通っていました。そして、ひとり講堂で苦しくなっていたこと、この映画を観ながら思い返してしまった...。

25歳の時、事故により四肢麻痺になってしまった主人公(これは実話だそうです)。彼の希望は、生きることではなくて死ぬこと。意識はしっかりしているのに身体が自由に動かない。そんな経緯から多くのことに絶望している主人公の想いが前半でかなりの重さとして伝わってきました。

ストーリーとしては...かなり重かったので、あえてここで何を言おうとも思わないのだけど、今回私が気になったのは、映画内で使われていた音楽。クラシックもけっこう意味深く使われていました。オペラは2曲、モーツアルトの「コジ」とプッチーニの「誰も寝てはならぬ」。昨年、オペラ漬けだったこともあるのだけど、すごーくストーリーに重なるように象徴的に使われていて、なんだろう...さすがイタリア映画だって思ってしまった。

「誰も寝てはならぬ」というタイトル。きっとこの映画で監督が伝えたかったことは、「誰も現実から目を背け(寝てるも同然に生きる)てはならぬ」ということだったのかもしれない。

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