Thursday, July 30, 2015

"The circumcision" (c1500)

友人との夜会話のひとつ、"私たちは歴史や宗教にとても無頓着かもしれない"、なんてトピックで多いに盛り上がりました。

ある友人は米国留学時代を、授業の中でどれだけ自分が戦争について知らないのかを目の当たりにしたり、minority という存在について実感する為の時間だったと振返る。仕事で米国本社勢で闘う友人は我ら年代の憧れある地だけれど、仕事をしていく中での思考の差異を感じながら毎日だという。私はといえば若かりしき頃、宗教問題によって世界を知るきっかけを与えられたこともあり...。

さて、ロンドンのナショナルギャラリーにあるこの一枚。何も考えなかれば普通にイエスとマリアの宗教画ね、と素通りしてもらうものかもしれませんが、テーマは"The circumcision"。つまり旧約聖書に記述があることからユダヤ教、イスラム教においては宗教慣習なのですよね。映画「シンドラーのリスト」の中で、小学校にユダヤ人を探す為にやってきたナチ勢が子ども達のパンツを脱がせるというシーンがありました。当時観た時はまったく意識してなかったけれど、儀式を終えているか否かで見極めるという意味だったのかもしれません。

過日訪れた宗教画が中心のブレラ美術館(@ミラノ)は、人がまったくいなかったのでゆっくり堪能することができた一方で心苦しくもなりました。絵画は私たちが観ているだけではなく、絵画も私たちを観ている。エネルギーを交換しているから何百年たっても美しいのでしょう。

amour longue distance(遠距離恋愛)

かつて香港と東京の往復をしていた時期がある。直線距離で2890km。
金曜夕方に会社をでて、18時40分の成田発に乗って、週末を香港で過ごす。
月曜朝に成田到着。そんな期間を2年半。

哀しいことに、相手との時間をその後紡ぐことができなかったけれど、
時々そんなパワーをもっていた自分を懐かしくも思う。

「国境越えないで遠距離恋愛と言うなんて信じられない」。
そんなこと言っていた自分をこの動画みてふと思い出した。
わかあかりし思い出。

Wednesday, July 29, 2015

機内映画:「風に立つライオン」(2015日)

札幌時代、お仕事ご一緒させていただいた大沢たかおさん。彼の作品はドキュメンタリー含めて全て拝見させていただいてます。今回の映画作品はそういう意味で、とっても彼らしいもの。いや〜、いい作品。機内でボロボロ泣いてしまった(苦笑。

これが実は本当の話なのか、小説なのか。そんなことが頭をグルグルするほど切なくも素敵なお話で、医療ボランティアの方がもつ力についてすごく考えました。一人の存在がこんなにも現地の人含めて、心を動かすものであるのか。ケニアの美しさもあいまって素晴らしかったです。

家にDVD買っておこうかな。

http://kaze-lion.com/

機内映画;「ビッグ・アイズ」(2014米加)


最近、アートに携わるお仕事のお手伝いをしているのでとても興味深く観ました。そして、これが実話っていうことにたまらない驚き。ついついネットで確認してみると、でてくるでてくる、この裁判のお話と旦那のその後。いや〜、現実は小説より寄なり...なんてよく出来た言葉です。

確かにこの旦那。お金儲けは大得意というか、マーケティング力に長けている人なんだと思います。いわゆる左脳なタイプ。だからこそアート分野は苦手だったんでしょう、おかしな絵ばかり描いていたみたいだし(苦笑)。だから故にすごい作品に才能に憧れてしまった。いやー、ついついこの分野については共感しちまった。私も左脳が働いていて、右脳的アート感覚ないっていうのが大きなコンプレックスだもんねー。

この映画のレビューを見ていたら、どうして噓ついたんだ的なコメントも多かったのだけどこれはしょうがないというか、一度ついた噓はどんどん知らない間に膨らんでしまってどうしようもなかったんだって思う。噓を重ねる度に大きくなっていく噓。噓か真実なのかもわからなくなっていった感じ。確かなものが自分が生み出す作品だけ。きっと怖かっただろうな...。

ティム・バートン作品ってのもよくわかる感じ。
いろんな意味で刺激的で面白い作品。是非。

http://bigeyes.gaga.ne.jp/

Monday, July 27, 2015

「日付変更線」(辻仁成 著)

今回の旅のお伴に選んだのはこの作品。久しぶりの辻さんの長編作品です。
往路の機内で読み始めてから実はかなりの一気読み....というか、止めることができなくなるくらいはまりました。

日本とハワイの時差は19時間。日本にとってハワイはつねに昨日の世界、ハワイからみると日本はつねに明日の世界。私の場合は、欧州に向かっていたのでその時差の半分で生きている感じなので、ちょっと戻るけど昨日って感覚ではない場所にいる、なんて改めて時差について「過去」「今(現在)」「未来」について考えたりしました。だんだんと旅慣れてきてしまっているのもあるけど、これって本当はスゴイことですよね。便宜上、よかれと思って私たちは時間を決め、国を区切り、たとえそれが愚かなことでも、そのせいで苦しんだとしても、そういうもんだと思って生きてきた。なんだか今回はそんなことを色々考える時間となりました。

そういえばこの数年、私自身がもしかしたら、時間をいったりきたりしていたのかもしれません。懐かしい人との振返り時間という「過去」、そして彼(彼女)が「今」生きている時間の共有、新しい人(時には本人)との出会いという「未来」。その瞬間、自分が異空間にきたからこその体感でもあるし、ソーシャルメディアの発達によっての「今日」という日をつながったままでこそ感じているから故の不具合というか違和感というのかもあるのかな。だから本当の意味での「時間旅行」なのかも...。

劇中にあった「運命」という言葉についてのやりとりは、私の中で「なるほど」というかとてもしっくりきた解釈。

“「運命というのは、結果に対して使う言葉だ。まだ何も始まってないものに使える言葉じゃない。君が言う運命というのは、ただの誤解とか錯覚のことを指す。死ぬまで、人間は、それが運命かどうかなんて分からないものだ。」”

“「運命の出会い、と人は自慢する。最初からぼくらは出会うことが決まっていたんだって、目を輝かせて言う。でも、そうじゃない。出会った結果に、運命が後付けされて、さも、その出会いが、あらかじめ神によって定められていたかと思うような、神々しさを生み出す。卵が先か、鶏が先か、ってのに似てる。運命は言わば、出会った結果を、より神秘的に見せる後付けの装飾品に過ぎない。人間は出会うために日々を生きてきた。その努力が二人を出会わせた、と思うのが正しい。」”

「運命」はそこまでだと本人が決めた時に使う用語。だから、「結果」。
運命って、自分で決めたことなんだ...。諦めたから出る言葉なんだ...。

そういう意味や解釈なら、私は「運命」を認めたくない。
価値ある「過去」を過ごし、意味ある「今」を生きること。私にとっての「未来」はまだ信じられるものでいてほしい。そして、私の歩んだ「過去」から繋がっていて欲しい。

http://renzaburo.jp/dateline/

Sunday, July 26, 2015

「没後10年 ロバート・ハインデル展」

時差ボケ&急性夏バテに鞭を打ちながら、滑り込みで行ってきました、「ロバート・ハインデル展(https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/15/robert/)」。

60年代にイラストレーターとして活躍した後、70年代中頃から徐々にファインアートへと移行していったアメリカ人の画家。ダンサーの作品が多いことから"現代のドガ"とも呼ばれています。ちょうど私のバレエ人生ドストライクなので、懐かしいな〜。

遠い昔、地元の彫刻家のモデルをしたことがありますが、その時にとっても役立ったのが彼の構図。初めての経験だったこともあって、同じポーズを続けるのにいかに見栄えがよいのかとか参考にしました。でも辛かった思い出です(苦笑)。

今回の展示では、ダンサーだけではなくて歌舞伎作品もありました。動きあるダンス構図をいかした歌舞伎の躍動感。実はこちらの方が私には興味深かった。能とか歌舞伎とか、やっぱりどこか表現者にとっては共通するものがあるのかな。

Anyway. 久しぶりの日本での展覧会は、人がいっぱいの中でゆったりといった感じではなかったけれど、"帰ってきた〜"と実感致しました。それもまた楽しかった。ふふ

Wednesday, July 22, 2015

avoir du nez(嗅覚が働く)

今回のミラノ滞在で驚いたのは、Puffが私の匂いを覚えていてくれたこと。5年以上ぶりの再会なのですよね、しかも会社でちょっと過ごしたくらいで、そこまでがっつん一緒にいたわけではないのです。だけどしっかりと彼の地で受け入れてくれたこと、正直ちょっと感動しました。

犬の嗅覚の素晴らしさは、在籍当時すごく勉強させてもらいましたが今回のようなことがある度に実践として理解します(そういえば数ヶ月前に同じようなこともあったな〜)。彼らにどのくらいの嗅覚引き出しがあるのでしょう、一度見てみたいものです。

そういえば。ミラノでは、レストランやバール、スーパーマーケット含めてほぼ犬連れOKでした。そして大型犬が多かったかな。これも文化だね。

Monday, July 20, 2015

元上司...といっても4ヶ月だけど@ミラノ

思えば5年ぶりでした。今回のお出かけで会いたかったM社時代の上司、藤本さん。週末を一緒に過ごさせていただいて、とても充実したミラノ時間をもつことが出来ました。まずは大感謝です。
彼にとって激動だった数年を経て「ミラノでは色々あるけど、とても仕事が楽しいし、今のチームを最高にしたい」と言い切る姿はとても自信に溢れてかっこよかった。先行く先輩がイキイキしてチャレンジし続けてるって嬉しいものです。
奥様の智美さんとゆっくりお話することが出来たのも嬉しい収穫。お二人の掛け合い漫才のような仲良し具合も心地よかったし、パートナー構築の先輩としてもいい刺激を受けました(笑)。本当にお世話になりました。

こうして誰かにとっての〝今の人生〟を垣間見させてもらうと、自分自身も少しだけ世界を広げる機会を与えてもらえてる気がします。どうしても人は変わらないことが心地よいしラクな方に逃げてしまいがちだけど、あえて飛びこんでみるって年を重ねれば重ねる程、強く意識した方がいいかもしれません。ラクなものからの脱却というか、知ってると思い込まない貪欲さというか。意識しないと意識ある人たちに置いていかれそう。
私の人を巡る旅も、そろそろ終盤。大好きな人との再会と新たな出会いに感謝しつつ、まずはParisに帰ります!
〉藤本さん、智美さん、ミラノで出会った皆さま。Arrivederci!

Wednesday, July 15, 2015

Parisのお姉ちゃん・2015夏

お姉ちゃんと今年の再会写真。笑われちゃったけど、ちゃんと会いたい人に会いに来れた証でもあるから。
もともとは友人経由で知り合ったお姉ちゃんとは、そろそろ10年選手な付き合いとなります。彼女にしてみると「そろそろ意思表明しなさい!何処行きたい?何したい?」と言われるくらい訪ねる度に彼女の前では(いや、いつもか?)任せっきりな私ですが、なんだかんだ言いながらこうして時間を作ってくれることがとっても嬉しいし、そもそも会えるだけで本当に幸せ、そんな人と出会えたこと自体に感謝したい。
お互いほとんど見た目の変化なく。でも、会話することはちょっとだけ大人になったかも?(いや、そう信じたい。苦笑)
変わらぬ今年もありがとう、また会いにきます。私も変わらないように、前にすすみます。

Saturday, July 11, 2015

よもやま話 ; Marina Abramović

レディー・ガガもリスペクトしているという旧ユーフォスラヴィア出身のパフォーマンスアーティストをご存知ですか?SATCの中で、“16日間何も食べない、しゃべらない、すべてをみせる”というパフォーマンスが登場していますが、その元ネタとなっているのが彼女です。

さてさて。先日お邪魔したArtクラスは「Conceptual art」がテーマ。正直、脳みそが痒くなりそうな話が多かったのですが(恥)、紹介されたこの映像がとても素晴らしくて、地味に見返しています。
彼女が行っているパフォーマンスは「1日6時間椅子に座り、机の前に座った観客と一言も言葉を交わさずに向き合う」というもの。彼女に対面した観客たちは、次第に涙を流し始めたり、微笑んだりするものの、アブラモヴィッチは対照的に見つめるだけ。ただ一度だけ激しく動揺した男性がいて...。

彼の名前はUlay、彼女の公私わたってのパートナーだったそうです。誕生日が偶然にも同じだった二人は76年にアムステルダムで運命的な出会いをし、それから二人でのパフォーマンスアートの生活が始めたものの、その後に哀しいことに別の道を歩むこととなりました。彼女は彼がここに来ることを知っていたのか?彼女の表情の変化が全てを語っているようにも感じます。

Conceptual artについては未だしっくり来ていないけど、これはArtだと思う。皆さんはどう思いますか?

https://youtu.be/OS0Tg0IjCp4
(Face bookより転載)

Sunday, July 05, 2015

「Sans Soleil」 by Chris Marker(1982 仏)

フランス映画祭に行けず悔しい想いをしたので、昨日はこちらでフランス映画を堪能。

1982年にフランスで公開されたドキュメンタリー映画ですが、あまりにも実験的で詩的な作品でした。日本・西アフリカ・サンフランシスコ等を旅する架空のカメラマンからの手紙を読む女性のナレーションが全編を通して流れます。

興味深かったのは映画の中にでてくる1980年代の日本の映像。昨今のクールジャパンは"アニメやオタク"だらけだけど、なんかここで捉えられている映像がとても昭和チックで"いい"んですよ。哀愁というか人間臭さというか、人の息を感じるというか...。

途中で意識を失いかけたけど(苦笑)、なんだかまったりとしつつも映像美に魅き込まれる作品でした。今月いっぱい、銀座のHERMESで。

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アテネフランセでは、今月末からクリス・マルケル作品の特集上映とトーク、シンポジウムを開催するらしい。行ってみようかな〜。
会場:アテネ・フランセ文化センター(御茶ノ水)
会期:2015年7月27日(月)~8月1日(土)
http://www.athenee.net/culturalcent…/program/mar/marker.html

Saturday, July 04, 2015

Je me suis perdu(道に迷う)

自他共に認める"方向音痴"です。

「多くの女性はそうだよ」なんて最初は慰めてくださる方も、私の場合は世間の度を超しているので、いずれその方も呆れます。そしてどうやら楽しんでいただけるステージに移行します(友人たちは語る)。

昨夜は弟クン達と食事をしたのですが、なんと店の中で迷いました...。自分でもびっくり。そんなに広い店ではないのにどうやら三往復ほどグルグルしていたらしく...。

一通り爆笑された後に一人から質問。「そんなんで、どうして海外に一人で行けるんですか?」これもまた慣れている質問やねん。

「だって目的なく歩いているし、基本散歩してるんだもんっ!」