Tuesday, March 08, 2022

「やさしい日本語――多文化共生社会へ」

 "やさしい日本語"というタイトルから語学本と思われるかもしれませんが、本書は日本が「多文化共生社会」を目指すには、外国にルーツを持つ子どもたちが日本社会で自己実現できるための条件として"日本語をやさしくする"という内容が書かれている一冊です。


もう少し簡単にいうと、外国人がたとえ日本語を間違って使っていても日本人側が"推測できる力"を身につけるためにどうしたらいいのか、というような内容で現状の課題が挙げられていました。これは話し言葉だけではなく幹線道路の上に見かけるナマズの看板(地震が発生した時の優先道路)みたいなものも含まれていて、「ナマズ=地震」って外国人ではさっぱり意味がわからないよね、といった指摘も。要は一番大切なことは、どうすれば伝わりやすいか「相手の立場に立って考える」ということ、について言語学の視点からのアプローチです。

「やさしい」という意味は、どちらかというと「置き換え」に近く、その意味から言うと人としての優しさであり、わかりやすさという意味での易しさのスキルをどう考えるかなんてことも、巻末にまとめてありました。これ仕事上でも非常に使えるかもなんて思ったので、ご紹介しますね。
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★情報を取捨選択し、一文を短く
想定する読み手を絞って、相手に何を促したいのか、という視点から整理します。その際、不必要な情報は思い切って削ります。

★結論や大切な情報は、なるべく文書の最初に書く
一番伝えたいことは先に明示します。また、下線や枠囲いなどで強調する ことも有効です。

★必要に応じて補足情報を加える
それだけでは意味が理解しにくいものは、()書きなどで補足の説明を加えましょう。また、★や※などで注記するのも有効な手段です。
(例)高台(高いところ)、土足厳禁 ※靴を履いてはいけません

★図やイラストを活用する
難しい漢字や意味も一目で理解出来ます。(例)天麩羅

★漢字等にはひらがなでルビを振る
カタカナにもひらがなでルビをふりましょう。
カタカナ英語や擬音・擬態語も使わないようにします。
(例)キャンセル⇒やめる、 頭がガンガンする ⇒頭が痛い

★分かっていないと感じたら、別の言い換えを行う
理解していないと感じたら、どんどん別の言葉で言い換えてみます。
(例)公共交通機関を利用してください⇒バスやタクシー、電車で来てください ⇒自分の車で来てはダメです

★難しい単語や言い回しは使わない
(例)納付してください ⇒お金を払ってください
ご用件は何ですか? ⇒どうしましたか?
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コミニケーションは伝わってこそなので、聞いて当たり前、分かって当たり前ではないことを認識することから。先にも書きましたが、こういう配慮が外れてしまっている文章とか職場で日本人同士にもよくみますよね。外資あるあるでのカタカナ塗れとか、社内用語や略語などもこれに当てはまる気がします。果たして本当に伝える気があるのか?伝わって当たり前、聞いてもらって当たり前は特権ではないのかしら?むむ

改めて伝えることの大切さを思い出させてもらった気がしました。かくいう私のこの文章、皆さんにとって「やさしく」あることを期待して。汗

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