Wednesday, March 09, 2022

「ゴヤの名画と優しいどろぼう」(2020英)

 原題は「The Duke(公爵)」。盗まれたゴヤの「ウェリントン公爵」の意だと思いますが、階級社会の英国で、自分ではない誰かの為の活動を続けた60歳の主人公の"理不尽なことに立ち向かう心の強さ"に対する敬意も兼ねてるかも、なんて...。

税金の無駄遣い、人種差別、公共放送の受信料など、現代日本にも通じる社会問題も散りばめられ、前半からテンポ良い展開。イギリス映画っぽく派手さこそないものの主人公のユーモア溢れる口調に惹き込まれます。後半の法廷シーンは秀悦。傍聴人はおろか陪審員や裁判官、そしてこちら側に座っている観客をも虜にしてしまう答弁シーンは本当に素晴らしく、私もどっぷり裁判に参加している気持ちになり判決のシーンは涙してしまいました。愛ある言葉というのは本当に人の心を動かすんだね。彼こそ心底ストーリーテラーだと感じました。
妻との掛け合い、親子問題などもあって色んなことが凝縮されているものの、なんだか見終わった後はほっこりして、本当に優しい愛に包まれている気持ちになる温かい映画でした。やっぱり「ノッティングヒルの恋人」の監督だな、、、とも。
邦題からだとアート系映画と勘違いしてしまうかもだけれど、泣けるし笑えるしオススメです!!是非是非。

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