Wednesday, October 13, 2021

「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」

タイトルからして興味いっぱいのテーマ、且つ大好きな川内有緒 (Ario Kawauchi) さんの作品ということで、早速購入したものの気づけば1日で読了してしまった。それくらい"読んでよかった"一冊。彼女作品は私の中で外しません。

白鳥さんと筆者と一緒に美術館の旅に出かける度に、自分が知らない間に染み込むように持っている”偏見”や"思い込み"について気付かされます。それはもしかしたら悪いことではないかもしれない。だって幼少時代に日本人が何度となく教育の場で言われていた「不自由に人には優しくしなさい」「困っている人は助けなさい」という教えを忠実に守っているのだから。でも、実は相手はどう感じていたの?って話です。
合わせてコロナ禍で気付かされたことの1つ。私も当初楽しんだ(けど実は一時的だった。苦笑)海外美術館をネットで観れるというサービスのこと。白鳥さんは最初から観たいと思わないのですよね。筆者もなんで?って思ったと記載ありましたがやっぱりリアルの重要性を彼は感じていたことを知らされるんです。
これがこの本のテーマの根幹にあるんだなって思いました。
美術鑑賞って自分の経験から出来上がっていて、いわゆる舞台体験と一緒なんだろうなってことです。もちろん何百年も前に描かれた創造物がアート作品であってその作品自体が変化するわけではないけれど、「その時誰と観たかとか、どういう匂いがしていたのか、何を感じたのか」によって変化しているっていわゆる上書きで出来上がっていることを意識する、生まれ変わっているんだってこと。すごく納得してしまった。それは人と人の出会いと一緒でもあるんですよね。同窓会だったら「あの頃はさ」でいいけれど、限界が来る。何が大切かって、お互い色んな経験をして、上書きしていく出会いをしているかってこと。違うかな。
デジタルで見れるじゃん、確かにそう。デジタル経由で会えるじゃん、はい、それも正しい。
だけどやっぱり、あの時一緒にリアルにいて感じたこと、その時に盛り上がっていた話とか食べた食事の味とか匂いとか、全てが総合して記憶って出来上がっているから人は人と触れ合いたくなるのだと思う。
あ、またアナログ女、昭和女だって思ったでしょ。笑
いろんな気づきを与えてくれた一冊。おすすめです。

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