Sunday, September 12, 2021

「人間は醜い、けれど人生は美しい」

2021年、トゥールーズ・ド・ロートレック(1864.11.24~1901.9.9)が、没後120年となりました。

昨年はラフェエロが没後500年、一昨年がミケランジェロが没後500年。コロナ禍でなければ、間違いなく南仏アルビ(彼の生まれ故郷)で行われているであろうイベントに参加していただろうなぁ(苦笑。

ロートレックというと、いわゆるムーラン・ルージュの踊り子を描いた広告的版画が日本では有名ですが、生い立ちとしては中産階級のボンボンだというのに、病気のために背が伸びず(16歳での2度目の骨折が致命的)コンプレックスを抱いて生きていてさらには早死(36歳!)にしてしまった人。なんだか報われないというかなんというか。切ないエピスードしか出てきません。

とはいえ、時代は世紀末。生まれた翌年には「第一回印象派展」が開催され、ベルエポックやらガルニエ宮建立など華やかさ真っ盛りのパリ。華やかさの裏側にある労働階級に視点を持っていた余裕というのは、ボンボンの彼ならでは(そういう意味ではドガも一緒だね)なのかもしれません。
意外と知られていない唯一描いた自画像やゴッホの肖像画(パステル調なのが興味深い)、決してこちらをみないモデルたち。
実はロートレックの面白さとは、版画ではないところにあるのではないかしら。

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