北方ルネサンス(現在のオランダやベルギー)の絵画はびっくりするほど緻密で写真のようだし、フランスはロココに代表されるような甘美な世界が好まれたんだなってほど可愛らしい女性像がそこにある(きっと男性が憧れた女性像に違いない、実際はそんなフランス女性いないから!!笑)。イタリアは"LEON"の世界ごとくイケメンかつ筋肉ムキムキな男性像が描かれるし、ドイツに至ってはやっぱり生真面目でそしてゴツイもの(人も描写される対象も)が好まれている。ステレオタイプで申し訳ないけれど、やっぱり現在の人と繋がっていると思うんですよね。
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昨年破綻した"米ブルックスブラザーズ"のロゴの意味ってご存知?ちょっぴり不気味に感じる"吊るされた羊"はもともと「金羊毛騎士団」と呼ばれたフランスのブルゴーニュ公フィリップ3世によって作られた騎士団の紋章で、その後スペインハプスブルグもこれを(勝手に)受け継いだからめちゃめちゃ絵画に登場します。どんな流れでブルックスブラザーズがこれを採用したかは知らないのですが、最初にこのロゴ見たときに「ひょーっ」思ってしまったのは確か。だけど、こういう小咄面白くない?
服飾の世界で言うと、レースの甘美さとかフランスはやばい。ポンパドール夫人の肖像画とかに出てくるレースなんて今も欲しくなるくらいのクオリティなんだけど、これまた北方ルネサンスに行くとこれが合理的な裏地が毛皮(ま、寒いのだろうけど)になったりとかしちゃうわけよ。しかも当時の自分たちの売り売り産業だったものを描いちゃう。これってつまり広告ポスターのはしりよね?
さらにマニアックなことを言うと「ああ、まだパターンを起こして洋服を作る技術がなかったんだー」ってわかるような切り込みスタイルとか描いちゃってるの。上着に切り込みを入れて動きやすくすることによって、中にきている服(インナー)をチラ見せちゃうっていうオシャレ技術。きっとその時代の1つの流行だったのかもしれないよね。でもフランスの場合は生地の方な訳。お金かけたくないから反物(印刷された生地)ができたのは他国よりも早かったとか。
私は、その絵画や彫刻とかがどうだなんて全く批評はできないけれど。はるか昔から残っている世界と繋がって現在を理解することが好きなのだろうなってことは自覚しています。それによってもっと相手を理解できるのかもしれないなって思うからね。
コロナ禍で生き方や生活スタイルが変わったって言われることも多いけれど、人は本質的には変わらないって思うんですよ。人が本来何を求めているかってことを突き詰めたら、きっとそんなスタイル的なってことは表面上なことでしかないんです。だって、500年前の絵画が教えてくれますから。
要は...手法は変わっても描きたいテーマは変わらないってこと。どうやって生活していくかは変わっても、生き方は変わらないってこと。私はこの変わらない部分がやっぱり好きだから、今日もまたアート漬けになっているのかもしれない。せめて頭の中で旅くらいさせてくれ。爆爆爆